新年映画特集


新しい年を迎えたとたん、仕事や仕事にもならない細々としたことでバタバタしてるうちにずいぶん日がたってしまいましたが、あけましておめでとうございますん。今年もよろしくお願いしますネ!


最近、まわりの編集者やデザイナーが英国の映画監督エドガー・ライトの作品に順番に狂ってきており、その余波で『HotFuzz』(邦題『ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン』)を観にいきました。2007年公開の旧作ですが、日本では長く未公開で幻の映画となっていたのが、ファンの署名運動により、ここにきてやっと公開されてるいわく付きの一本でございます。


予習的にこの監督の作品である『ショーン・オブ・ザ・デッド』と『SPACED』(ドラマ)をあらかじめ観ていきましたが、どちらも小粒ながら、なかなかよくできたコメディでした。ということでいざホットファズ。いやー、これは楽しかったです。スバらしい出来。署名運動が起こるのもわかります。DVDレンタルもはじまったそうなので、まだの方はぜひとも。ちなみに、この作品の公式ページはネタバレ満載です。鑑賞前に見ないようにご注意くださいまし。


あ、これ書いてて思い出したんですが、埋もれていた作品がファンやマニアの声でDVD化されたケースで『片腕カンフー対空とぶギロチン』という限りなくC級にちかい奇作がありました。王羽という、カンフー映画マニアの間で絶大なリスペクトを受ける浙江省出身の俳優兼監督の代表作です。片腕ながら超強いカンフーの達人である主人公が、復讐に燃える謎の暗殺者と対決する、という内容ですが、基本的にストーリーは支離滅裂です。


さて、この敵の暗殺者が使う武器が有名でして、見た目は変型の鎖鎌。しかしヒモの先についているのが刃付きの帽子なんですね。これを敵の頭めがけて投げつけ、スポッとかぶせてグイと引っぱると一瞬にして首がもげるという極めて強力かつ残酷な武器なのです。1975年公開のこのとんでもないB級カンフー映画、あまりにも濃すぎる登場人物および奇想天外なストーリー展開が、その後、各界で活躍するクリエイターたちに強い影響を及ぼしているという意味では、かなりの名作といえるでしょう。ちなみに誰が、どんな風に影響を受けているのかというと、下記のとおり。

  1. クエンティン・タランティーノが『キル・ビル』に空とぶギロチンと似たような武器を登場させている(後にこの映画へのオマージュだと語る)。
  2. 漫画家ゆでたまごが『闘将!拉麺男』のなかで、空とぶギロチンとほぼ同じ武器を登場させている(これはぼくが小学生のときに読んだので間違いなし)。
  3. カプコン社員が『ストリートファイター2』の開発時、この映画の武術大会に出場するインド出身の腕が自在に伸縮するヨガ・マスターにヒントを得て、ヨガフレイムでおなじみのダルシムを創造。
  4. ナイン・インチ・ネイルズが「Closer」という曲に、この映画で使用される銅鑼の音を使用。



どうです、すごいでしょう。この暑苦しいイラストおよび適当なタイトルとは裏腹に、なかなかやるじゃないか、というかんじがしませんか? するわけないか。というわけでまだ未鑑賞の方はいますぐ最寄りのレンタルショップにBダッシュをお願いする次第でございます。



噂の空とぶギロチン