中華料理のこと

グフゥ……先週末は飲んでばっかりいて、週明けから死んでおりました。


木曜日は表参道の〈Red Pepper〉。知り合い4人と。うち2人は下戸だったため2人でビールと赤白ワイン2本。プリン体が一気にたまりそうなプリプリのフォアグラがヤバイほどうまい。金曜日は恵比寿の〈欣来〉。別の知り合い4人と。またもやウーロン茶野郎が2人混じっており、ビール散々と紹興酒。ここは初めて連れてってもらった中華屋でしたが、最高です! キャベツの塩炒めが絶品です。土曜日は友人たちがウチに遊びに来たので、焼きそばとか白菜と豚バラの重ね蒸しとかネギのサラダとかつくって、焼酎さんざん。


いやー、楽しかった……楽しかったけど、身体はつらい。でもまあ、改めて思ったのは、たまにフレンチとかイタリアンもいいけど、やっぱ中華はおちつくなあ、ってことです。和食でおちつくならわかるが、なんでそんなに中華でほっこりしてるのかというと、以前、中国に住んでいた経験が大きいと思われます、ハイ。


どうでもいい独白っぽくなるんですが、ぼくは大学を卒業して、4年ほど上海に住みました。まわりがみんな就職活動を一生懸命してる横で、ぼくがやってたのは移住の準備です。にわか社会人みたいになっていく学友たちのことを、当時はアホじゃないかと思って見てましたが、今思えばアホはぼくだったことがよくわかります。まあ、前置きはいいとして、とくになぜ上海を選んだかというと、当時、雑誌でみかけた上海市内の写真にいたく心ひかれたからです。その写真は、古い街が解体というかぶちこわされ、近未来的なビルがにょきにょきはえていく様子を写したものでした。そういう破壊と再生がリアルタイムで進行してる街に住んでみたいなー、と思ったわけです。若くて浅はかだけど、勢いだけはあるので、さっさとチケットをとって、ある夜、上海に飛び立ちました。


そういうわけで気づくと4年も中国にいたわけですが、イヤー、行ってみるもんですね。楽しかったです、やっぱり。見るもの聴くもの出会うもの、すべて新鮮。半年くらいで中国語も日常会話くらいは困らなくなって、あちこち旅行して回ったり、まあ気楽なものです。さて、中国に住む以上、食べものはやっぱり中華料理がメインになります。それまでも中国料理は普通に好きだったけれど、とくに興味があるわけじゃありませんでした。でも、各地でいろんな料理に出会っていくうちに、その奥深さにどんどんハマっていきました。


月並みな表現ですが、本場の中華はやっぱりちがうんです。長江以北と以南ではまず主食がちがいますし(北は麦、南は米)、味付けも北はしょっぱくて、南は甘い。重慶とか南西部の方は「朝天椒」という丸っこい唐辛子を多用した、とてつもなく辛い料理が多くなる。四川なんかは「麻」(痺れる)という甘い、辛いを超えた味も登場します。広東は蛇とかアルマジロも食べるし、場所によって、ホントにオモシロい料理がわんさかあります。


そういえば、日本で有名な麻婆豆腐とかエビチリとかでも、中国で食べると別物です。どっちがイイとか悪いとかじゃなくて、ちがうんです。ただ、おもいっきりちがう例もあって、たとえば担々麺。四川の担々麺はスープのない和え麺です。素材、水、空気、雰囲気。要因はいっぱいあるだろうけど、本場の料理は、本場の環境ではじめて最高のパフォーマンスを発揮できるようにできてるんだと思います。海外で食べる日本料理が、どうしても日本で食べる和食とは違ってくるのと同じですネ。


まあそういうわけで、ぼくは今でも中華料理を食べるのがとても好きなんです。ちなみに、ぼくがいちばん好きな中華は、蕃茄炒蛋(卵とトマトの炒め物)です。シンプルこの上ない家庭料理なんですが、もうホントにおいしい。帰国後、何度も作ってみてるんですが、なかなかあの味を再現できずに今に至ります。でもまあ、ここまで日本の家庭料理に浸透している外国料理は中華以外にないんじゃないでしょうか。餃子、ラーメン、春巻、麻婆豆腐、酢豚。それまでふつうに食べてた中国料理も、もちろん大好きです。日本人の好みに合わせて発展したものですから、まずいわけがありません。ラーメンなんて、もう中華の範疇からすっかり飛び出しています。日本の寿司もそうですが、世界中で自由に食べられてる料理って、なんか夢があって好きです。


ということで、今年も上海蟹、はやく食べたいなー。